【自作小説】「私の影」第一話 友達
キーコーンカーコン。小学校の授業のチャイムが鳴り、みんな各々の家に帰宅する。
僕は友達がいないからいつも一人で帰る。外は夕焼けで太陽が日の入りをしている。
「今日も一人だな~」
僕は友達を作るのは苦手。学校では、クラスの人と話すことはなく授業後の休憩時間は寝るふりをして時間をつぶしている。いつもそうだ自分は受け身な性格で自分から話しかけることはしない。
そんな僕についてくる影。影は何も言わずに僕の後ろをついてくる。僕はいつの間にか毎日影に話しかけるようになった。
「今日も友達ができなかった」
「君みたいに一緒に帰ってくれる友達が欲しいな」と独り言のように影に話しかける。影は僕にとって唯一の友達のように見えた。しかし影は話さない。
「ただ僕は友達が欲しい、僕から話しかける勇気があれば」と家に帰るたび繰り返し自分の心の中で話しかけている。
僕は知らないうちに目から涙が出ていた。その時、泣いている僕に誰かが話しかけた。
「大丈夫? なんで泣いてるの」
その子は僕と同じクラスメイトの女の子だった。
僕は、「僕友達がいないんだ。話しかける勇気がなくていつも一人」
「私も、友達がいないよ。私もいつも一人だよ」
その女の子も僕と同じで学校では一人でいると。
「私たち似た者同士だね」
「そうだね、友達がいないのは寂しい」
女の子は何も言わずに僕の話を聞いてくれた。僕はいつの間にか女の子に自分のことを話していた。こんなに同じクラスメイトの人と話したことは初めてだ。僕はうれしかった。
しばらくして僕は話すことがなくなりあたりは静まり返った。残るのは歩いている僕と隣にいる女の子、それから後ろをついてくる二つの影だけ。
僕は影を見た。いつもは後ろについてくるだけの影が、今日だけはうれしそうに見えた。
時間がたち、ようやく家の前に着いた。この時僕は女の子に向かって「話を聞いてくれてありがとう」と心込めていった。
女の子も「どういたしまして」と言い笑顔で返してくれた。
そして少し息を吸って僕は最後にこの一言を言った。
「もしよかったら、僕と友達になってください」と勇気を振り絞って言った。
女の子は驚いていたがしばらくして女の子は
「こちらこそよろしく」とまた笑顔を返してくれた。
女の子の影もまたうれしそうに笑顔を返してくれた気がした。