INAKA談話ブログ

時間があるときに趣味や自作小説や雑談など書きます

【自作小説】「私の影」第四話 弱点

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影はいつも私についてくる。影は怪我をすることもなく、車が上を通ってもなにもなかったかのように私についてくる。弱点がないように見えるその影は時に弱点を見せる。

月曜日・・・

『ザァーザァー』外は雨が降っている。

「はぁはぁ、今日って天気予報で雨なんか言ってなかったぞ」俺は雨の中、傘をささず帰り道を走った。

今日、朝学校に登校したときは空に太陽が見えたのに今は雲によって太陽は見えない。雨が降っているのを知ったのは、学校の授業が終わり帰ろうとした頃だった。

「やっと授業終わった。さぁ家に帰ろ。」と窓の外を見た時さっきまで晴れていた外が曇っていた。

「外怪しいな、今日傘持ってきていないから帰る途中で雨が降ったら家に帰る頃にはびしょ濡れだな。」俺はすぐに荷物を持ち、速歩きで学校を出た。

俺の家は学校から歩いて20、30分くらい離れている。朝、登校時に自転車を使えば今日の雲行きが怪しい日でも自転車を速く漕げば雨が降り出す頃には家に帰れるが、俺たちの学校は自転車を使うのには条件があり、家から学校まで2キロ以上離れている人は自転車を使用できる決まりになっている。その中に自分は入っていない。

『ポツ、ポツ』と少しずつ雨が降り出してきた。

「今日は運が悪いな」と言い帰る速度を上げた。残り家まで15分突然、

『ザァーザァー』とさっきまでの雨が強くなり、俺の制服がまたたく間に雨によって濡れてしまった。俺は屋根のあるバス停で雨宿りをした。バス停には誰もいなかった。

「全身びしょ濡れだ!明日も学校あるのに」と降っている雨に向かって言った。

俺は一息落ち着こうとバス停の椅子に座った。雨が止む間今日の朝のことを考えた。

俺は朝寝坊し、学校に遅刻しそうになった。今日だけではなく、俺は朝が弱く学校をギリギリに行くことがほとんどだった。

今日朝急いで学校に行く時、自分の影がはっきり見えるくらいいつもの太陽より眩しかった。朝が弱点な俺にとって今日の太陽は嫌だったが、ふと自分の影を見ると自分と違い朝を喜んでいるように見えた。そして今また影を見た。

影は雲によって太陽が隠れてしまいほとんど見えなかった。朝と比べ影は悲しんでいるよう見えた。俺は、

「朝が弱点な俺と同じく影も雲や雨の日が弱点だな」と自分と照らし合わせた。影のことを考えているうちに影がまるで反対の自分を見ている気分になった。

何分たっただろうか、知らないうちに雨が止み雲から太陽が顔を出している。太陽は朝と同じくらい眩しかった。眩しい余りに俺は手で太陽を隠した。

俺は下を向いた。その時、さっきまではほとんど見えなかった影は地面に真っ黒に染まり、雨が止んだことに喜んでいるように見えた。