【自作ホラー小説】スローモーション ①
※これはフィクションです。
この話は、私が高校1年生の時の話です。私が通ってた学校は3階まであり、1年生の頃の教室は3階でした。私たちの学校は屋上があり、当時は立ち入り禁止で屋上に行くためのドアにはカギがかかっていましたが、数年前までは屋上に行くことが許可されていたそうです。
私がいた席は、窓側の一番後ろの席でした。新しい高校生活でもあり、私は心配していましたがすぐに横の人に声をかけられ仲良くなり学校が始まってから1週間後には一緒に昼食や一緒に帰ったりする仲になりました。
高校生活が1か月過ぎ、私は不可解なことが起こりました。始まりは月曜日。授業中の事だった。
「えー。ここの問題、誰かわかる人はいますか?」先生が出した問題を私たち学生に質問する。しかし、この問題は難しく誰も手を挙げなかった。その中には私も含まれている。
私は『難しいんだよこの問題。だれか早く手を挙げて答えてくれないかな。』と心の中で思いながら、先生の目線が合わないように窓の外を見た。外は何も変わらない背景だけが広がっていた。
その時、「スーーーーーン。ドン!」と窓を見ていた私の視界からいきなり黒い物体が上からもの凄い速さで落ちた。その黒い物体が落ちた音は3階まで聞こえる音だった。
「え、えっ!今の何!」私はその黒い物体の落ちる姿にびっくりし、椅子から立ってしまった。私はとっさに窓の外の下を見たが、下の壁が死角となり落ちた黒い物体が見えなかった。教室にいた生徒たちや先生は一斉に私の方を見た。いきなりの事だったので教室は一時沈黙状態になった。ちょっとしてから先生が私に、
「どうしたんだいきなり立って。それに窓の外の下なんかのぞいて、何かあったのか?」
私は「えっ!先生。窓の外、何か落ちた音しませんでしたか?先生、窓の外の下を見てください」と言った。先生は、窓の外の下をのぞいた。先生側の窓は下の壁の死角がない。しかし先生は、
「何の音も聞こえなかったぞ。それに下を見る限り地面しか見えないぞ。」と先生は私が聞いた音、落ちた黒い物体のことを否定した。
私は、さっきのことにまだ整理ができてなくて放心状態になっていた。その時、
「ねぇ、どうしたの?大丈夫?」と隣の席の人が声をかけてきた。私は正気に戻り
「あぁ、ごめん。ありがとう」と私は言った。
すると、「ちょうどいい、じゃあこの問題解いてみて」と先生が私に言った。願ってもいなかった先生の指名が私になり、少しの間黒板を見つめていたが結局
「えっ、分かりません」と先生に答えた。
「仕方がないなー。座って」と先生は私に言い、先生は次の誰かを指名した。・・・
「キーンコーンカーンコーン」
やっと授業が終わり、私はすぐに教室から飛び出し、授業中上から落ちてきた黒い物体を見に行った。私が行く姿を見た友達は私の後をついてきた。友達は
「さっき、先生も言っていたけど落ちた音なんて聞こえなかったよ?本当なの?」
「本当だって。さっき授業中、窓の外を見ていたら何か黒い物体が落ちてきて。それに私たちがいる教室まで音が聞こえたよ。」と私はさっきのことをありのまま言った。しかし、
「もー!行ったって何もないよ?」と友達は私に言う。
私は「見に行けば分かるよ。」と言った。
私は3階から1階までの階段を早く降り、外に向かった。一瞬のことで分からなかったが、私がいた教室が3階なら1階にいた生徒は落ちたものを見ているはず。
しかし、私が1階に着いても1階の生徒たちは何もなかったかのように廊下でしゃべっている人や教室にいる人たちで落ちた黒い物体を見に行こうとする人はいなかった。
私は外を見に行った。だが、
「えっ、どうして。」外には、さっき見た黒い物体はなかった。私は辺りを見ても黒い物体はなかった。一緒に来た友達は、
「どこにあるの、その見たものって。何にもないじゃん。それより次の授業、移動教室だから早く行こう」
私は友達の言葉を聞き、少しの間外を眺めていたが
「そっ、そうだね、私の気のせいだったよ。ごめんね、早く次の教室に行こう」私はそう言って、次の授業に向かった。
その後の時間は何もなく1日が終わったが、あの黒い物体は何だったのか私は気になっていた。
それから私は教室での授業中の時は窓の外を何度か見ていたがあの時見た黒い物体を見ることはできなかった。
・・・一週間後の月曜日・・・
私が初めて黒い物体を見た時と同じ授業の時間で、窓の外を見ていた頃だった。
「はぁ~やっぱりこの前見た黒い物体は私の気のせいだったのかなぁ」私は小声で言って外を見ていたその時、
「スーーーン ドンっ」また私の視界に黒い物体が上から落ちてきた。
「えっ!また!それにあれ」私は一週間前の時みたいに席を立つことはしなかったが授業で先生が黒板に書いている最中で教室は静かだったので私の一言が教室に響いてしまい、みんなが私の方を見た。
「前もそうだったが、どうしたんだ一体。また外に何か見えたのか?」と先生は私に言う。
「いっ、いえ、すみません何でもないです」と私は謝った。
「ちゃんと授業受けろよ!」と先生は言い黒板の方を向き書き始めた。
私は先生に言われた後、さっき見た黒い物体について心の中で、
『この前見た時はものすごい速さで落ちたから分からなかったけど、今見えたのは前よりゆっくり落ちた感じが。しかもあれ、人に見えた気が?』
本当に人だったのかよく見えなかったが、もし本当に人だったら1階の生徒はもちろんほかの生徒だって気づくはずだが、騒ぐ様子はない。
「キーンコーンカーンコーン」
授業が終わり、私はまた落ちた黒い物体を見るために外に向かった。教室を出る途中、友達が私に何か話しかけてきたが私は気にせず教室を出た。
私は1階に行き外に向かった。しかし、
「なんで?確かにさっきこの目で見たのに!」外には黒い物体はなかった。
「この前見た黒い物体は見間違いじゃなかった。しかも同じ曜日、同じ時間に2回も続けて起こるなんて」私は独り言を言いながら少しの間放心状態になっていた。その時、放心状態になっていた私に誰かが私の肩をたたいている。振り向くと友達がいた。
「本当にどうしちゃったの?」友達は私に言う。私はとっさに
「先週見たものをまた見たの!それにあの姿、人のように見えたんだよ!だけどそれがどこにもいないの!」私はありのままを友達に言った。私の声は周りの人にも聞こえるくらいの声だったのでその声で反応した他の生徒たちが様子を見に来ていた。
「ちょ、ちょっと声が大きいよ!前もそうだったけど気のせいじゃないの?」友達は私の手を引きながら言った。
私は「2度もだよ!こんなの偶然じゃないよ!」私は感情が抑えれなかった。
「どうしたんだ!一体」前の授業の先生が私たちの様子に駆け付けた。
「先生!やっぱり先週見たものは見間違いじゃなかったんです。さっきも教室の授業で黒い物体を見ました」私は先生に言ったが
「話は職員室で聞くから来い!」先生は強気で私に言い、私は職員室に連れてかれた。
私は職員室で実際にあったことを先生に詳しく伝えたが、先生は「気のせいだ」と言う一点張りで私の言ったことを一つも信じてもらえなかった。
最後に先生に「とにかく他の生徒に迷惑かけないでくれ」と言われ結局私が見た黒い物体は私の見間違いに終わった。 (続く)