INAKA談話ブログ

時間があるときに趣味や自作小説や雑談など書きます

【自作小説】「私の影」第六話 子犬と私 前編

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 影はいつも私のそばにいる。時に影の存在は悲しくなる。

 朝。「わんわん!」と私の犬(シロ)が鳴いている。私はその鳴き声に起きた。時計を見ると朝5時だった。私はいつも6時に起床できるように目覚し時計を設定するのに、今日はシロが目覚し時計に代わって起こしてくれた。

 今日は土曜日で会社が休みでもあり、ゆっくりしたかった私はシロに向けて少し嫌な顔をした。

「今日は会社が休みなんだからもう少し休ませてくれよ~。シロは早起きだな。」私はシロの頭をなでた。

 私とシロは5年前に出会った。当時大学を卒業した後会社に就職したが、まだ新入社員だった私は仕事に慣れなく不安でいっぱいだった。夕方仕事が終わり帰宅途中私は気分転換に自分の住んでいたアパートの方向とは違う道に行った。その通り道に通った時、ダンボールがポツンと一個あった。そのダンボールは太陽の光で影も出ていて、まるで私を待っていたかその影は私に向いていた。私は不思議に思いダンボールの中を見ると一匹の子犬が眠っていた。

「なんでここに子犬がいるんだ。飼い主に捨てられたのか」と言い。周りを見渡した。周りには誰一人もいなく私とダンボールの中にいる子犬しかいなかった。私の声に反応したかその子犬は起き、

「くぅーんくぅーん」と鳴き始めた。その子犬を見ると腹が少しやせ細っていた。

私は、『このままこの子犬をほっとくときっと死ぬんでしまう』と思い私は子犬をアパートへ連れてった。

 私のアパートは偶然にペットOKだった。部屋に入り私はすぐに冷蔵庫に入っていた牛乳を子犬に飲ませた。しかし子犬は自分での飲める力がほとんどなかった。私は少しでも子犬に牛乳を飲めるようにティッシュに牛乳を染み込ませ子犬の唇に付けた。子犬は少しずつだったが舌で唇をなめて飲んだ。子犬が牛乳を飲み終わる頃はすでに夜になっていたが、ダンボールにいた時と比べ子犬は元気になりスヤスヤ眠っていた。

私は「よかった。元気になって」と少し気持ちがホッとした。

私はこの子犬をどうするか考えた。

「保護施設に引き渡すかこのまま飼うかそれともこの子犬を捨てた飼い主を見つけるかどうしようか。」

「まず飼い主を見つけても引き取ってもらうことは無理だろう。次に保護施設に引き渡してもこの子犬を飼ってくれる人が見つからない限り最悪殺されてしまう。なら私がこの子犬を飼うしかない。だけど、仕事もあり飼うには難しい。」

それを考えていくうちにいつの間にか目を閉じていた。・・・