INAKA談話ブログ

時間があるときに趣味や自作小説や雑談など書きます

【小説:愚者のエンドロール】に出てくる謎を解説 ※ネタバレ注意

こんにちは、INAKA談話です。今回はアニメにもなった「氷菓」の小説の2作目『愚者のエンドロール』に出てくる謎を解説したいと思います。小説1作目の『氷菓』の謎はブログでアップされていますのでぜひ見てください。

※ネタバレを含みますので『愚者のエンドロール』を見ていない人は見てからこの解説を見ることをお勧めします。

この解説は『愚者のエンドロール』を読んだ前提で話を進めます。

 

f:id:Inakadanwa:20210210194542j:plain

 

 

愚者のエンドロール (角川文庫) [ 米澤 穂信 ]

価格:616円
(2021/2/27 16:00時点)
感想(28件)

 

 

 

 

 
 

謎の始まりと内容

 始まりは夏休みの終盤、古典部は10月の文化祭で出す文集「氷菓」についての相談で学校に集まっていた。文集の相談が1時間くらいで終わり、古典部たちが昼食をとっていると、古典部部長の千反田えるが、2年F組が制作したという試写会を見に行こうと古典部たち(折木奉太郎福部里志伊原摩耶花)を誘った。

 試写会は視聴覚教室でそこには2年F組の入須冬美がいた。入須はビデオ映画を見た後意見を聞かせてほしいと言い、古典部たちは2年F組したという仮称のタイトル「ミステリー」のビデオ映画を見ることになった。しかしそのビデオ映画は密室で少年(以後:海藤と言う)が腕を切り落とされて死んだシーンの後、誰が海藤を殺したのか分からずに物語の途中で終わってしまった。ビデオ映画の脚本家だった本郷真由子は脚本の制作途中で倒れてしまった。

 そこで古典部たちはビデオ映画の結末を解決するためのオブザーバーとして2年F組で『探偵役』を志願した人たちの意見を聞き、ビデオ映画の結末を解決することになった。

 

中城順哉が言った結論について

 海藤を殺した犯人は窓から入って海藤を殺して、窓から出たという。そうすればわざわざドアを通らずに済むと。ビデオでは窓の外は夏草がぼうぼうに生い茂っており、中城の意見だと犯人が窓を使う場合、犯人が窓の外を通った際に夏草が折れて痕跡が残るがビデオでは犯人が通った痕跡がなかった。しかし中城は脚本家の本郷が舞台の下見に行った時期が5月の終わり頃でその頃、夏草が茂っていないから窓を使えると思い込んだんだと言い、次回のシーンで夏草を刈り込んで、死体発見時のシーンから撮るという結論。

 

折木が中城案を却下したことについて

 この舞台の劇場の見取り図を考えると(小説の中に書いてあった見取り図を見ると)犯人が窓から侵入するためには、必然的に外を通らなければならない。ビデオでは劇場に来たのは6人でカギを使って一人一人違う部屋に散るシーンがあるが、その中の犯人役が劇場の外に行くためには残りの5人に足音も立てず、ばれないように行かなくてはいけない。ビデオの映像では時間は日中だったから犯人がばれずに外に行けたとしても窓を侵入している姿が5人に見られる可能性があるから。

 

羽場智博が言った結論について

 まず、劇場の見取り図だと2階の左と右に控室が2部屋ずつある。海藤が死んだ部屋は2階の右側と小説で書いてある。

 羽場は犯人がどうやって海藤を殺し、密室にしたのか色んな仮説を出した。しかし、その仮説の欠点を言って否定した。(分からない人はぜひその内容を小説で読んで見てください。)

 そして羽場が出した結論は、犯人は海藤がいた2階の右側のルートの窓からザイルを使い、誰にも見られずに海藤がいる部屋に侵入して海藤を殺し、同じルートをたどって戻ったという結論。

 

折木が羽場案を却下したことについて

  まずビデオのシーンで、海藤が死んでいる姿を見つけた後、男の人が窓を開けるシーンがある。映像では海藤がいた控室の窓は建付けが悪く、もし犯人がザイルを使って海藤がいる窓を開けようとするなら開けるのに時間がかかったり、音が出てしまう。そんな状況を見ている海藤は突っ立ったまま見ているわけないから。

 羽場はビデオ映画を見てなく、見取り図だけで結論を出したため、窓の状態を知らなかった。

 

沢木口美咲が言った結論について

 まず今回のビデオ映画はあくまでも内容は「ミステリー」がメイン。しかし沢木口は「十三日の金曜日」や「エルム街の悪夢」などホラーとして分類するものも「ミステリー」として見ている。

 そして沢木口の結論はビデオ映画に出てくる6人の他に7人目がいて海藤を殺した犯人は7人目の怪人だという。犯人が怪人だというので壁をすり抜けて海藤を殺したという密室を取り除いた結論にした。最終的に怪人はカップル以外の残りの人を殺してラストシーンではカップルが怪人を倒すという結末を出した。

 

 

折木が沢木口案を却下したことについて

 脚本家だった本郷が舞台で必要な物を小道具班に要請しているなら、沢木口が言った怪人が人を殺すシーンを撮るためには血のりがたくさん必要だが実際に本郷が要請した血のりの量は海藤を一人さえ殺せないほど少ない量だったというので本郷の脚本に矛盾が生じるから却下した。

 

折木が出した結論について

 まず、映像の中には7人目がいて映像を撮影しているカメラマンがその一人。理由は映像を見ると誰も懐中電灯を持ってなく、光が当たるシーンは照明のために当てられている。しかし、映像のカメラワークに工夫がなく、立ち位置が悪い。もしそれも意図しているのであれば、カメラマンは常に6人と同じ場所から撮影を行っていたことになる。実際に映像に出てくる役者はカメラ目線をしている場面もあるため、したがってカメラマンが7人目になるという。

 7人目が海藤を殺した犯人として進めると、6人が劇場の中を散るまでカメラはロビーにいて散った後にシーンが暗くなった。7人目(カメラマン)は一時的にカメラを止めてすぐにマスターキーを入手し、海藤を殺害して他の人が戻るのを待った。

 7人目を役者にすると最後までロビーにいたカメラマンが最初に犯人だと疑われてしまう可能性があるが、ビデオ映画の目的はスタッフの自己満足と観客を楽しませることなので、折木は「別にいいでしょう 謎ぐらい」と大胆な意見を含め結論を出した。

 

脚本家だった本郷が書きたかった本当の脚本

 今回の脚本では死者が出なかった。本郷は推理小説の勉強のために「シャーロックホームズ」の小説を読んでいて短編の一つ一つに二重丸と三角、バツマークをつけていた。折木の推測を用いて言うと本郷がつけていたマークは「シャーロックホームズ」の短編の中でハッピーエンドか悲劇なのかをマークで印付けていたため。そして、本郷はハッピーエンドを好み悲劇を嫌っていた。

 しかし、死者が出ないはずの脚本に2年F組の人たちのアドリブで殺人事件に変わってしまった。結果的に折木が出した結論で未完成だったビデオ映画は完成したが本郷が書きたかった脚本とは違う脚本になった。 

 

 

愚者のエンドロール (角川文庫) [ 米澤 穂信 ]

価格:616円
(2021/3/7 22:13時点)
感想(28件)

 

 

 氷菓を見たい人は>>

 

氷菓 (角川文庫) [ 米澤 穂信 ]

価格:572円
(2021/3/7 22:13時点)
感想(56件)